今なお残るタイマッサージに対する偏見

 日本では、未だタイマッサージに対する偏見があるのも事実である。それは、「タイマッサージ=風俗」という考え方である。非常に残念なことだが、多くの中高年が誤解をしている。これは約20年前の日本のビジネスマン達が土産話を吹聴した名残なのである。当時は、タイの経済状況が低く、ホテルに滞在したビジネスマンがマッサージ師を部屋に呼ぶと、性的サービスをオプションとして誘われるケースが多発していたからなのだ。経済的に困難なマッサージ師が生活のために仕方なく行っていた性的オプションサービスが、誤解を生んでいる。現在も時々タイへ中高年の男性グループが遊びに行く光景を目にするが、ほぼ、ゴルフを兼ねた売春ツアーである。今なお勘違いしている人がいたら、その人をすけべじじいと思えばいいのだ。
 しかし、よく考えてみよう。偏見があるからこそ、ビジネスチャンスなのではないだろうか?本当にすばらしいものを世間が誤解しているのなら、「違うよ。誤解だよ。本当はこんなに素晴らしいものなんだよ。」と教えてあげること、それこそが、新しいことにつながる。だから、ビジネスチャンスなのだ。周りがやりだして、誤解が全く無くなってしまったら、それはきっと新しいものでもなんでもなくなる。そこにはチャンスは無い。

スパとデイスパ

 スパとは都心から離れたエリアにある大規模な滞在型温浴施設を言う。もともとはヨーロッパが発祥とされる。古代ヨーロッパでは、伝染病が蔓延し、皮膚病を患った患者や、戦いで負傷した兵士らを癒すために温泉入浴が盛んだった。治療に効果があるとされた温浴施設は、慢性的な病を治療するための保養地として次第に姿を変え、患者の長期滞在のための大規模な滞在施設とともに医者が常駐するようになっていった。その施設をスパという。スパの語源はラテン語の"スパゲーレ"で、「温泉施設における潤い」という意味を持つ単語である。もともとスパは医療という要素が強かったが、近年では、「スパ」をストレスケア、ビューティーケア、フィットネスジムなどの美容や健康増進のための施設名称として使われるようになってきた。
 デイスパとは、サービスを都会の真中で受けることができる施設の名称で、アーバンスパとも言われる。特にニューヨークや、サンフランシスコなどキャリアOL、エグゼクティブ達へのストレスケアとしてアメリカの都心部でブームになっている。最近では、東洋的要素(気、経絡、ツボ、チャクラなどのインド、中医学を取り入れたもの)を取り入れたメニューが話題である。精神的な安定を東洋のスピリチュアルなものに求めているようだ。代表的なメニューは、タイマッサージを始め、レイキヒーリング、ヨガ、アーユルヴェーダ、指圧、メディテーション、ロミロミ、ストーンセラピーなど。外面的な美しさや健康さではなく、内面的な心身のバランスをとる為のプログラムが中心で、疲労回復、リラクゼーション効果プラス外面的美しさ、健やかさの提供をコンセプトとしているデイスパサロンが世界的にも増えている。

世界中で定番的な存在だ

 タイではタイマッサージ店が乱立している。石を投げればタイマッサージ店に当たると言われるほど多く、その数は数千件にも及ぶのだ。タイの国土の面積は、51万4000km2、つまり日本の約1.4倍の広さだ。そこに約6000万人(日本の約半分)が暮らしている。タイでは、マッサージがいかにポピュラーなものであるかがわかる。マッサージの身近さは、日本人の感覚とはずいぶんと違う。
 2003年10月に開催されたAPEC首脳会議では、世界の閣僚たちがタイマッサージでもてなされたことが日本のニュースでも報道された。タイは国をあげて、自国の伝統文化を世界に広めようとしている。
最近では、世界的に温浴施設が注目を浴びている。世界中が癒しを求めているのだ。世界の5つ星と評されるスパでも、タイマッサージは人気が高く、その中心的な役割を担っている。
 試しにヤフーで「thai massage」を検索すると、相当な数がヒットする。ヤフージャパンで402万件、ヤフーUSAで362万件、ドイツで371万件、イギリスアイルランドで365万件、フランスで370万件、イタリアで371万件、台湾で402万件、スペインで366万件、カナダで255万件、オーストラリア&ニュージーランドで359万件という有様だ。ヤフーチャイナで「泰式按摩」を検索すると169万件ヒットするし、ヤフージャパンで「タイマッサージ」を検索すると226万件がヒットする。もはやタイマッサージは世界中で市民権を得たといえよう。これは、一時のブームじゃないことは誰の目から見ても明白だろう。
 日本でも、温泉、健康ランド、スパなどがもてはやされている。そんな温浴施設においても、旧態依然とした日本のマッサージは、よく見かけるが、タイマッサージが入っているところはまだまだ少ない。日本全国を探しても、東京や大阪を中心とした首都圏以外には、まだまだタイマッサージが見つからない。ここにもビジネスの余地が残されているのだ。

タイマッサージの歴史

 タイには、今から2500年程前に、仏教の僧侶たちがインドからタイに移り住む形で、仏教が伝来したが、マッサージの技術もこれと同時に伝わった。その後、1292年に当時の国王ラマ・カムヘン王(Rama Khamheng)によって小乗仏教の一派であったテラヴァータ仏教が国教として定められ、タイ医学は仏教との深いかかわり合いを持ちながら、ワットと呼ばれる寺院で保護されながら発展していくことになる。
 タイは仏教の国として知られているが、当時は、もちろん、テレビや新聞もなく、「ワット」と呼ばれるタイの仏教寺院が、庶民のコミュニケーションの中心地だった。「ワット」は仏教の教えを学ぶ場であるのと同時に、マッサージ法を学ぶ場でもあったのだ。西洋医学が流入する以前には、病気の家族を手当てするために、人々は僧侶にマッサージの手法を相談して治療を行っていたのだ。こうして長い年月をかけて母から子へ、師匠から弟子たちへと口頭で伝えられ、数百年も病気の治療法として、臨床的に実践されながら、タイのマッサージは発展した。
当時の医学書はヤシの葉に記され、仏教の経典のように大切なものとして、当時アユタヤ王朝に保管されていたが、1767年のビルマ軍の侵攻によって壊滅に追い込まれた。医学書のみならず、経典や政府の記録までもが、ほとんど全て失われてしまった。このため17世紀以前の資料は現存していない。
 その後、タイ国王ラマ3世によって、1837年にわずかに残った医学書はバンコクのワット・ポーで石碑に刻まれ、よみがえることになった。これらの記録には、人体を流れるエネルギーライン「セン」が描かれ、前面 図、背面図合わせて60枚の石碑に刻みこまれた。これらの歴史的資料は、現在でもワット・ポー(プラ・チェトゥフォン王立寺院)の敷地内の壁にはめ込まれ、私たちも目にすることができる。
このようにタイマッサージは、仏教と深い関係を持ちながら発展してきた。マッサージをする前に「ワーイ」と呼ばれる合掌を行い、健康と幸せに祈りを捧げるが、これも寺院で発展を遂げた名残なのである。そこには、ただ気持が良くなり、健康になるだけでなく、相手を思いやるという仏教の教えが込められている。
 仏教の教えの中で、「マッサージは4つの心で行え。」とある。その4つとは、親切心(loving kindness)、哀れみ(compassion)、他人の身になって喜ぶ(vicarious joy)、心の平静(equanimity)、です。タイでは、こういった奉仕の精神が仏教を通 して教えられ、こういった背景の中でタイ医学は営利主義から守られてきたのだ。こういった理由から、タイマッサージは仏教の寺院の行事として、社会奉仕の一環として行われてきたものなのである。しかし、西洋医学の進歩と反比例に、寺院の役割からは、健康面の役割は次第になくなり、タイマッサージは暗黒の時代をさまよい続けた。しかし、今日世界的に東洋医学が見直され、タイ国内においても、「タイマッサージリバイバルプロジェクト」がおこり、マッサージは健康に非常に効果的な方法として、西洋医学との両立が考えられるようになった。21世紀を迎え、新たなタイ医学への取り組みが始まったばかりなのである。

タイマッサージの誕生

 タイマッサージの起源は、今から2500年前にさかのぼる。歴史上のタイマッサージの創始者は、シバコというインドから来た医師である。他にも、シバコ・コマラパ、ジバカ・クーマーラバッチャ、耆婆、Shivaga Komarpajなどの呼び方があるが、ここではシバコと呼ぶ。彼は、ブッダと交流があった人物で、「サンガ」というブッダを中心とした仏教僧集団の筆頭医師であった。「医学の祖」とも言われ、タイマッサージを霊感によって導き出したと言われている。他にも、ハーブやミネラルに備わっている癒しの力をも発見した。地球上の草木にはすべて効能があり、約に立たないものはひとつもないということである。
 仏教教典によると、シバコは、ブッダの主治医であり「四部律」には、彼に関するエピソードが6つ書かれている。簡単に紹介しよう。シバコの最初の治療は11年間も頭痛を患っていた患者の鼻に酥(バター)で煮た薬を注ぎそれを吐き出させて治したという話。第2は痔で困っていたビンビサーラ王を湯で満たした鉄槽の中に座らせて眠らせ、患部を切り取って消毒して完治させた話。第3の治療は、柱に縛った子供の腹を刀で開き、腸捻転(ちょうねんてん)を治し縫合した話。第4は、脳手術。頭痛で悩んでいる患者に多量の塩分を含んだ食事の後、酒を飲ませて酔わせ、頭骨を刀で開いて脳を取り出し、酥(バター)と蜜で脳をよく洗い縫合して頭痛を治した話。第5も頭痛治療で薬嫌いの王に薬を与える話。第6は、数日間に渡ってブッダの中に満たされていた悪い体液を香や塗油、水浴などで治した話。このようにシバコ(耆婆)の医療技術は今日でも通用するほど高いもので当時の仏教医学のレベルの高さをうかがうことができる。
 身体のいろいろな部分が痛かったり、不快に思ったりする時、人間は本能的に触ったり、こすったり、揉んだりする。そして無意識に行われるそういった行動は、人間の進化にまでさかのぼることができるの。人間だけでなく、多くのほ乳類は、彼ら自身で手足をこすったり、傷をなめたりしている。ただ、私たち人間は、長い年月の中で、これらの行動を体系づけたり、記憶したりすることによって、現在のマッサージが発展してきた。
 マッサージについての記述が歴史上出現するのは、今から5000年以上前にさかのぼる。タイには中国の黄皇帝(Huang-Ti)の時代に伝えられたという歴史的な記録もあります。紀元前1800年頃のインドの文献アーユルヴェータには、身体をいやし、丈夫にする方法として記されている。このようなマッサージに関する記述は、世界中でそれぞれの文化や医学的な参考文献と絡み合って、数多く存在している。聖書にも、このような表記は多く見られ、有名なものでは、病気を治す方法として「横になって手をかざす(laying-on-of hands)」というものがある。

タイ衛生省によるタイ古式マッサージの効能

タイ政府(衛生省)が公表している効果には、単に「凝りをほぐす」だけではない。美容効果や精神面にまで言及しているのが特徴的だ。

■器官系
胃弱・慢性胃炎・便秘・下痢・食欲不振・体力増強・老化防止・風邪の予防・高血圧・低血圧・貧血・血行障害・冷え性・生理不順・不妊症・ぜんそく・アレルギー

■体の凝り、疲れや痛み
筋肉痛・腰痛・肩こり・眼精疲労・首や背中の凝り・リウマチ・膝の痛み・足のつり・足の疲れ凝り・疲れによる全身のだるさ

■美容系
肥満防止・太りすぎ・お腹を引っ込める・腹部の贅肉をとる・ウエストラインを美しくする ・足のむくみをとる・脚の線を美しくする・ 肌の新陳代謝促進・しわの減少

■精神系
不眠症・ヒステリー・興奮を静める・イライラの解放

タイマッサージの実験

 タイマッサージの場合、前半1時間くらいは、脚ばかりを徹底的にもみほぐすのが特徴だが、ここに秘密があった。脚には自律神経につながるスイッチが多く点在している。脚をもむことで自律神経にまで影響を与えることができるのだ。つまり、タイマッサージは懲りをほぐすだけでなく、体調を良くしてくれるということになる。
 タイマッサージが自律神経に影響を与えることを立証したこんな実験がある。2000年にNHKで特集された「タイの伝統マッサージが足にこだわるわけ!」という番組で特集された実験を紹介しよう。被験者は前の晩に徹夜をして疲れている。血行が悪くなっているために血圧が通常よりも高くなっていて、皮膚の表面温度が下がっている状態である。これに対し、脚のマッサージと肩のマッサージを同じ時間で、どれだけ肉体に変化が生じたのかを医療機器で計測して比較するという実験をした。まずタイマッサージの手法で、足裏〜太ももまでの部分を30分間マッサージした。次に同じ時間だけ肩をマッサージした。これらをそれぞれサーモグラフィーで体温を測り、血圧を測定した。脚のマッサージのほうは、脚だけではなく、上半身全体が赤くなっていた。これは、上半身全体の温度が上昇したことを示している。血圧に関しても、正常値にまで下がっていた。肩のマッサージでは、肩の部分の温度がわずかに上昇しただけで血圧にも大きな変化はみられなかった。つまり、タイマッサージの特徴でもある脚を丹念にもみほぐすことで、自律神経に働きかけ、全身に良い効果をもたらすことが、この実験で科学的に立証されたわけだ。
 この実験では、脚の筋肉の中でも大腿四頭筋と呼ばれる太ももの前面にある大きな筋肉を特にマッサージしたのだが、脚の大きな筋肉には、自律神経が脳にある自律神経の中枢に働きかけるための特殊なスイッチがいくつもあるということである。実験ではマッサージがスイッチに刺激を与え、それが信号となって脳に送られたというわけ。人間には自律神経という神経が全身に網の目のように張り巡らされているが、この自律神経というのは内蔵や血液、ホルモン、免疫をつかさどっている神経で、自分の意志ではコントロール不可能だ。手足の筋肉などは自分の意志によるものだが、これをコントロールするのは他の神経系。身体が弱っていると、この自律神経の動きも緩慢になる。
 自律神経に影響を与えるっていうことは、とにかく身体にいい。自律神経は、私たちの生命維持に欠かせない役割を果たしている。たとえば、私たちが走ったとき、心臓がバクバクする。食事をすれば勝手に胃腸が動く。自律神経が正常に機能しないと何かを食べても胃腸が正常に動かない。食物の栄養も吸収されなくなってしまうだけでなく、胃腸もさらに悪化する。こんな風に内臓が勝手に機能してくれているのは自律神経の働きである。頭(大脳)で考えるわけではなく、自律神経が内臓を動かしたり休ませたりしている。それだけじゃない。自律神経は、免疫機能やホルモンについても司っている。空気中には目に見えない細菌がうようよしている。息をするときに私たちは空気と一緒に細菌も吸い込んでいる。それでも身体が腐らないのは、免疫機能があるからだ。リンパや白血球が細菌を食べていれるから身体を保つことができる。免疫力が低下すると風邪をひきやすくなってしまうし、病気も治らないということになる。自律神経が活発に働けば、免疫機能も活発になり、病気になりにくい健康な身体になる。ホルモンとは、体内の特定の組織または器官で生産され、直接体液中に分泌されて運ばれ、特定の組織や器官の活動をきわめて微量で調節する生理的物質の総称だが、たとえば、エストロゲンなどの女性ホルモンが活発に分泌されると、女性らしい体型になったり、肌にはりが出たり、つややかになったりする。逆に女性ホルモンのバランスが崩れると生理不順を招いてしまう。先ほどの実験では、脚のマッサージによって自律神経が正常化されたと解釈できるわけだ。

タイマッサージを知る

 タイ古式マッサージは、「世界で一番気持ちいいマッサージ」とも呼ばれている。 約2時間から3時間かけて全身の施術を行なう。クイックマッサージくらいしか縁のない忙しい人にとってみれば異常に長い時間に思うが、受けたことのある人は「あっという間だ」と口をそろえる。技の数はとても多く、按摩や指圧によく似た手法から、アクロバット的な体勢で行うストレッチ技までが含まれ、上手く組み立てられている。ひととおりの技を行うとまる1日かかるほどある。実際にはクライアントの身体状況を確認した上で、適切な技を選択しながら、施術を行う。数百年の年月をかけて、タイで仏教と共に発展してきた施術法なので、愛と慈悲の心をもって施術することを大切にしているのが特徴だ。
 タイ古式マッサージは、まず足裏を施術することから始まる。まずは、足裏を十分に施術し、筋肉、血管、神経を刺激し、血液の循環を促す。そうすることで、老廃物も一緒に洗い流され、きれいな血液によって酸素も補給されるわけだ。血液の循環が悪くなると、疲労がたまり体調は次第に狂ってくる。足は「第二の心臓」と呼ばれるが、筋肉の3分の2は足にあって、心臓から送り出された血液を再び心臓へ送り返すポンプの役割を果たしているからである。通常でも、足部分の血圧は上半身の血圧の10分の1程度しかないから、心臓からいちばん遠い足には、血液がうまく循環していない。足の裏や甲には、自律神経など全身をコントロールする神経が集中しているから、この足の裏と甲の反射区を刺激することで体調を整え、自分自身の力で健康を維持させることができる。
 次に、脚全体をエネルギーライン(セン)に沿って圧迫する。母子(親指)の圧迫の後、手掌の圧迫というように、脚にある6本のセンを何度も往復しながら圧迫していく。「気」の流れを促し、血液やリンパの循環も同時に促す。血液は血管の中を巡っているが、圧迫によって細胞内の老廃物を毛細血管へと意図的に押し出しているのだ。通常、脚部分の施術で約1時間をかける。これがタイマッサージのひとつの特徴とも言える。
 その後、腕や腹部、腰、背中、肩、首、時には顔や頭などの施術を行いながら、全身を温めていく。身体が温まったら、ストレッチ技を行なっていく。 ストレッチ技もとてもアクロバティックな姿勢で行うのがタイマッサージらしいところ。プロレス技かと思うような複雑な技である。実はこれ施術者も無理のない姿勢で疲れないのが、また素晴らしさでもある。

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