著者 渡邊聡一郎 SOICHIRO WATANABE


1964年生まれ
早稲田大学卒業
日本トラディショナルタイマッサージ協会会長
日本ヌアボーランスクール 校長
タイマッサージ塾 総塾長
株式会社ヒーリングセラピー・ディヴェロップメント 代表取締役
有限会社チューイングガムズ 代表取締役

※儲けたい人は、読まないでください。
※人を食い物にして自分だけ儲けたいだけの人は儲かりません。
※人のためになることをするからこそ、結果的に儲かるだけです。

著者とまえがき

 タイマッサージに出会ってから早21年になった。当時20歳だった僕はマッサージというものをはじめてタイで体験した。大学の卒業旅行だった。友人と2人でタイ旅行に3週間出かけたのだが、ちょっとした喧嘩から、バンコクに着いた矢先に、一人旅を強いられることとなった。昼は寺を巡ったり、屋台で飯を食らったり、ぶらぶらと街を闊歩し、夜はバーでおねえちゃんを冷やかしたり、ディスコで踊り狂ったりという日々だった。若かったのでたいした疲れも感じていなかったが、ディスコでパンパンになった足が少々だるかったので、マッサージというものに生まれて初めてかかってみることにした。びっくりした。思っていたのと違ったからだ。身体を引っ張られたり、持ち上げられたりと、「何じゃこりゃ!」というのが正直な感想だった。これがタイマッサージとの始めての出会いだった。
 初めて女を買ったのもこのときだった。それまでは金を出して女を買うことをプライドが許されなかったのだが、旅はかき捨てと思い、バーで金を払って安宿に連れて返った。事をいたした後、その女が再び男根の根元を指で押さえた。血管が脈打つのを感じた。どくどくと数十回数えては離すのだ。この作業を繰り返すうちに男根は再び頭を持ち上げてきた。これにはびっくりした。こんなこともできるのかと。このテクニックは、タイマッサージの中にも応用されている。血液の流れを一時的に止めた後に、一気に流すことで、新鮮な血液を行渡らせ、生命エネルギーを増幅させるテクニックがある。ただただ関心するばかりだった。
 こんな体験からか、タイが好きになった。アパレルメーカーに就職してからも暇を見つけてはちょくちょくタイを訪ねた。その度にタイマッサージを受けた。日本では、タイマッサージ=セクシャルなサービスという偏見があるが、それが決して本来のタイマッサージでないことも当時から判っていた。
 25のときに結婚をした。当時、アパレルメーカーに勤めていたのだが、上司に掛け合って、売上の芳しくなかった店舗の運営を任せてもらうことにした。僕はメーカーに勤めながら、同グループ会社で洋服の販売をしていたかみさんに個人事業主として小売店舗の運営をやってもらうことになった。販売代行という形態で、店の運営を任せてもらう代わりに、売上の約15%を手数料としていただくという契約だ。店は順調に売上を伸ばした。前年比250%という驚異的な数字だった。当時はやったDINKS(Double Income No Kids)を絵に描いたような夫婦だった。そしたら半年ほどで母親がガンになった。検査が不十分のまま半年間放置され、「やっぱりおかしい」と再度訪ねるとすでに病気が進行していたのだ。僕は介護に専念するために勤めていた会社を休職した。その後、病院もいくつか変えてみた。食事療法やリンパ治療、びわ温灸など、わらをもすがる気持ちでさまざまな治療法を試した。この際、国が認めていようがいまいがどちらでもよかった。少しでも良くなるように、楽になるように、ただそれだけだった。自分自身も、わからないなりにもただ身体を擦ったり、マッサージの真似事のようなことを繰り返していたのを覚えている。休職期間が長引いたのでこれ以上迷惑はかけられないと思い、会社はそのまま辞めてしまった。その間、かみさんが稼いでくれた。もう離婚したが、これには今でも感謝している。西洋医学も万能ではないと感じたのもこの頃だった。
結局母親が他界し、僕は身の振り方を考えた。ある意味これはチャンスだと思い、かみさんの事業を会社にし、拡大することにした。僕は若干26歳で社長として従業員を抱え、さらに運営する店舗を増やした。数年で大手アパレルメーカーから約15店舗を任されるようになり、社員数も50名を超えていた。
 そのまましばらくは調子に乗った生活だった。お手伝いさんを雇ったり、外車をいくつも購入したり、アメリカにも別荘も構えた。都内に小さなビルも購入した。ところがある日、事件は起こった。栄枯盛衰という言葉があるが、栄華は長く続かないものだ。某大手デパートのインショップに配属していた販売員が商品を持ち帰っていた事実が判明したのだ。半期に一度のたな卸しで発覚し、本人がこれを認めたというのだ。愕然とした。すぐに飛んでいって細かな事情を聴き、本人を呼ぶと、この事実を認めたのだ。その日のうちにこの話はメーカーにも伝わった。社会的信用が音をたてて崩れた瞬間である。責任はすべて管理者にある。会社とはそういうものだ。もちろん取引は停止である。この評判はあっという間に他の取引先メーカーにも伝わった。会社の取引も中断された。この評判はあっという間に取引先である他のメーカーにも伝わった。こういう話は早いものだ。結果、すべてのメーカーから取引が中断させられた。当時抱えていた従業員はメーカーに引き取ってもらい、調子に乗った生活はこれでピリオドを打った。2000年、36歳のときのことだった。
 今考えれば鬱だったのだろう。飯ものどを通らず、夜も眠れなかった。これまでの生活が夢のあとになった。占いにも行ったし、神様仏様にも祈った。しかし、状況は何も変わらなかった。人は収入が減っても一度手に入れた生活水準を落とせないもの。だから、金はどんどん出て行くばかりだ。都内のビルは銀行から金を借りて購入したものだったが、毎月ローンが預金から引き落とされた。見る見るうちに預金が減った。一番辛かったのは、かみさんとは別に付き合っていた彼女にそっぽを向かれたことだ。一瞬でも現実を逃避したいと思った。自殺する人の気持ちも理解できた。人は、金ではなく、人との縁が切れたことが一番辛い。バブルが崩壊して多くの自殺者が増えたが、人の縁が切れて苦しんだ末の結末なのだろう。
 ふとタイマッサージを思い出した。タイマッサージでトリップできることを知っていたからだ。探してみた。ところが見つかるのはタイマッサージとは名ばかりの風俗店ばかりだった。当時日本には本物のタイマッサージの店がなかった。もちろん教えてくれる学校もなかった。マッサージにありつけないショックと同時に「これはチャンスかも?」と思った。こんなに素晴らしいものが日本にないのなら、いっそ持ってきてしまえと思った。自分以外にも辛い気持ちで苦しんでいる人がきっと多いことだろう、そんな人にこれを受けてもらいたい。そのためには、これを本格的に仕事にしようと思った。最後は自分ひとりなんとか飯を食えれば、現状を打開できるかと思った。そうしてタイに渡った。タイマッサージの総本山とも言われる「ワットポー」に通った。そこには、10人ほどの日本人がいた。すでにマッサージをしている人やセンスがいい人もいて、明らかに僕が一番へたくそだったのは記憶に新しい。それからもいくつかの学校を渡り歩いた。遠くに明かりが見えた気がした。
 帰国後、タイマッサージの素晴らしさを世の中に伝えたいと思った。それまでパソコンというものに全く縁がなかった僕だが、金のない自分にできるのは、パソコンを覚えてタイマッサージのホームページを作ることくらいだった。今でも指一本打法だが、ホームページの作り方を必死に学んだ。友人に「今度、タイマッサージやるよ。」って言ったら、「渡邊さん、結局、風俗やるんっすか?」って笑われたこともあった。「風俗と誤解されているタイマッサージ。本当はそんなもんじゃないんだ!協会を作って、タイマッサージを日本に広めよう。学校を作ってセラピストを育てよう。疲れている人の役に立ちたいんだ!」って。タイマッサージの協会を作るにあたって、日本のマッサージの先生にも協力をお願いしたが、その多くは、「悪いけど、もし上手くいかなかったら、悪評を被るから遠慮しておく。」と断られた。所詮人はそんなものである。自分の身がかわいいのは当たり前である。失うものはもう何もなかった僕は、その分強い。悔しい分だけ、なんとかひとりでもやってやろうと思った。辛い経験をした僕は、自分のエゴでは最終的に成功しないことを学んだ。人の役に立って自分も生かされようと思うようになった。パソコンを学びながら、カイロや整体、マッサージの先生のところにも足を運んだ。タイのスクールでは、ただ順番だけを習ってきたが、それでは仕方ないと思ったからだ。調子に乗っていた時に購入したビルは、生活にも困って当時売りに出していたが、それでも、僕はそこにサロンとスクールを作った。このビルが売れてしまうのが早いか、起動に乗るのが早いか、一世一代の勝負に打って出た。不動産屋が何度も客を連れてきた。かの有名な芸能人や青年実業家たちも訪れた。ある日、ポケットに手を突っ込んだまま、営業マンが訪れた。客もふてぶてしい奴だった。なんとなく気分が悪かった。そのうち我慢しきれなくなった僕は、「売るのをやめたから今すぐ出て行け!」と言って、奴らを追い出した。逃げ場を無くした僕は、雨の日も風の日もチラシを作って近所に撒いた。ホームページを更新した。毎日、明け方まで施術をして会社に泊まりこんだ。2年半テレビを一切見なかった。風呂も入らずシャワーだけで生活した。朝4時から3時間の施術のオーダーを受けたら、「あんたきちがいだね。」って言われたこともあった。そんなこんなで今、僕は生徒にタイマッサージを教えている。
 今、世の中にタイマッサージがもっと広まればいいと思っている。そのためにはもっと多くの人がタイマッサージを知り、もっと多くの人がタイマッサージを好きになり、もっと多くの人がタイマッサージを仕事として捉え、もっと多くのサロンが世の中にできればいいと思っている。そうしなければ、世の中にタイマッサージが普及しないからだ。僕自身も日本ヌアボーランスクールというタイマッサージのスクールで技術の指導に当たっている技術者のはしくれだが、タイマッサージの普及のために、敢えてタイマッサージビジネスの本を書こうと思った。そうすることで、タイマッサージセラピストの地位が向上し、人々がもっと健康になってもらえればいいと思っている。

今、癒し産業が求められるわけ

 20世紀の産業の中心は、「衣・食・住」と言われ、生活を豊かにするための産業が時代を担ってきた。食べるものや着るもの、屋根のある暮らしは、すでにほとんどの人々が手に入れ、日本人の生活水準は世界的にもトップレベルの裕福な水準であることは明白な事実である。21世紀に突入した現代、伸びる産業の中心は、「心・技・体」に関するものと言われ、新たな分野が注目されるようになってきた。その中でも「癒し」というキーワードは、人々が疲れていることの裏返しであり、疲れていれば疲れているほど、この「癒し」というキーワードは人の心を揺さぶることになるものだ。社会の構造そのものが複雑になり、情報が氾濫し、あらゆる価値観が肯定されている現代、私たちは何を信じて生きていけばいいのかわからないまま、日々の生活を続けている。そんな暮らしは人々の心の奥底にストレスを作り出す。しかし、私たちは、どうすることもできないまま日常を送っているわけである。
 幼児が虐待され、死体が山の中で発見される。警察官が暴行を働き、医師も日常的にミスを犯す。違法建築のマンションが販売され、税金が投入される。大企業が買収され、政治家も一端を担ぐ。・・・・・一生懸命働く人間が認められることは少なく、株や企業買収でお金を動かすことでしか巨万の富を築けない。こんな世の中で人は宗教に身をゆだねることくらいしかできないのかもしれない。こんな世の中でストレスがたまるのは当たり前。事実、「癒し」をテーマに営業するリラクゼーション業界は、ものすごいスピードで広がりを見せている。癒し産業の中でもリラクゼーションビジネスの成長には目を見張るものがある。リフレクソロジーやマッサージなどのサロンがあちらこちらにでき、エステサロンもゲルマニウム温浴や岩盤浴などのサービスを始めている。サウナや健康ランドの中にも、もともとあったクイックマッサージ以外にリフレクソロジーやフェイシャルマッサージなどのサービスが加わり、総合癒し施設へと変化を遂げている。これらは、まさに「心・技・体」というカテゴリーの王道とも言える内容であり、この勢いは、決して日本だけのものではなく、アジアやアメリカ、ヨーロッパなど世界的なもので、その背景には、さらにいろいろな要因がある。
 情報化社会と呼ばれるように、さまざまな情報が氾濫し、多くの人々がストレスを抱えていること。パーソナル・コンピューターなどのデジタル機器が普及し、社会的にも機械を使うシステムが中心になり、真逆な人の手のぬくもりに触れる機会が少なくなったこと。西洋医学の限界が認識され、病気になってから治療する前に、病気にならないための予防医学という考え方が一般的になってきたこと。人体は、ストレスの影響を受けることで、免疫機能が低下し、疾病の原因を作っているという考え方が解明され、ストレスを取り除くことが予防医学の第一歩であると認式されてきたこと。東洋医学の「気」という存在が科学的に解明され、決してうさんくさいものではなくなったこと。リラクゼーション目的であれば、サロンを開業するにあたっては、めんどうくさい届出の必要がないこと。また、仕入れをしなくていいので、少ない先行投資で営業を開始できること。理由を挙げてもきりがないくらい多い。とにかく、このリラクゼーション産業の勢いは、時代の反映であるといえるだろう。

リラクゼーションサロンの市場規模

 リラクゼーションサロンの市場規模は2001年に2000億円を超えた。さらに年に10%ずつ伸びを続けている。市場規模は、エステ市場の4000億円、健康食品市場の1兆円と比べて、まだまだだが、逆に言い換えれば、これからますます市場が拡大すると予想できる。なぜなら、顧客の層を考えてみると、エステのようにある程度限られた顧客層と比較すると、リラクゼーションサロン市場では、老若男女が対象となり、ぐんと対象が増えるからだ。ストレスを取り除くという考え方が一般的になればなるほど、リラクゼーションサロンの利用も一般的なものになっていくだろう。潜在的には8000億円規模の市場があると考えることができる。

国家資格を持たなくても営業できる!

リラクゼーションサロンは、国家資格を持たなくても営業が可能。あんまマッサージ指圧師や柔道整復士など、日本の国家資格を保有することで、「診断」→「治療」という医療疑似行為(マッサージ業)ができるようになる。逆に考えれば、「癒し」を提供するのみで「診断」や「治療」を行わないなら、国家資格はい要らない。もちろん、営業内容はマッサージ業ではなく、接客サービス業という扱いだが、整体やカイロプラクティック、リフレクソロジー、アロママッサージなども、民間資格のリラクゼーション業界に入る。みんなそれで立派にやっている。 保健所などに問い合わせをしてみても、明確な答えは返ってこない。民間資格は、管轄外だとの理由からだ。実際に問い合わせをしてみると、こんな会話になることがしばしば。「タイマッサージのサロンを開業しようと思っているのですが。」と聞くと、「マッサージですか。国家資格をお持ちでないとマッサージの治療院は営めません。」と返ってくる。それでは、「マッサージ業でなく、あくまでリラクゼーションを目的としたサロンなのですが、国家資格でないので、サロンを開業できないのですか?」と質問すると、「こちらでは管轄外になりますので、わかりません。」という答えになる。
このリラクゼーション業界は「グレーゾーン」とも呼ばれている。その理由はこのあいまいさにある。現在の法律では、白でもなければ黒でもない、そうした中途半端な扱いなのだ。しかし、需要に支えられて急速に加速するリラクゼーション業界、ほとんどのサロンは届出しないまま営業をしているのが実情。もしも、将来的に法改正があったとしても、そこには「既得権」というものが存在する。すでにそれで生計を立てている人が全国に数万人もいるのだから、国もそう簡単に営業権を奪うことはできない。もしもそんなことがあれば、経済的な混乱や暴動をも招きかねない。

あんまマッサージ指圧師・国家資格の歴史

そもそも、現在のあんまマッサージ指圧師が国家資格となった歴史も思ったより浅い。それは、1993年2月のことで、2005年4月現在の累計合格者数は、2万3726人である。参考までに、紹介しておこう。あんまマッサージ指圧師とは、手や指、器具などを用いて身体の各部を押したり揉むなどして、こりをとったり血行を良くする仕事。都道府県知事による認定資格から、93年に国家資格となった。資格取得には、高校を卒業後、国が指定した学校か養成施設で、3年以上必要な専門知識や技能を修得しなければならない。資格取得後は、独立開業の道も開けているが、まずは治療院などに勤務して経験を積むことが先決だろう。はり師、きゅう師の資格とともに東洋医学のなかでは知名度も高いので、自分の腕を磨いて独立すれば高収入も期待できる資格である。受験資格は、大学受験資格があり、指定の学校または養成施設で、必要な知識および技能を修得していることなどで、受験資格にあるあん摩マッサージ指圧師養成の学校や養成施設で学ぶのが一般的。取得期間の目安は、国が定める学校や養成施設で3年以上、正規の課程を修学することが必要。試験は、年に1回各都道府県で実施される。2005年のデータによると、受験者数2055人、合格者数1750人。合格率は85,2%である。

2007年に団塊の世代が定年を迎える

 団塊の世代とは、1947年から1949年に生まれた世代のことで、この年に定年を迎える方たちがたくさんいる。「2007年問題」と称され、労働力の減少が懸念されるという社会問題にもなっている。
2010年には、60歳以上の高齢者が日本の人口の20%を超える。つまり、5人にひとりが高齢者という計算になる。さらに2043年までは65歳以上の人口は増え続ける。2005年3月に実施された内閣府のアンケート調査では、消費者本人に対して、「今後、積極的にお金を使いたい分野」について質問している。これによると、50歳代や60歳以上の高齢者は旅行や健康・医療、介護等への選好が強いことがわかった。また、日本は平均寿命が82歳で世界一の長寿命国である。ということは、今から30年間は、シルバー市場が急拡大する。この世代が大きなビジネスマーケットになることは明白である。政治においても、医療費を高齢者自身が負担するようになった今日、高齢者の意識は、予防医学や代替医療に向かっている。

ストレス性疾患にすごい効果

胃潰瘍、潰瘍性大腸炎、過敏性大腸炎、うつ病、自律神経失調症、インポテンツ、更年期障害、偏頭痛、不眠症、円形脱毛症、ガンなどは、ストレスが原因で発症する病気、ストレス性疾患と言われている。近年問題となっている病気の発症には、ストレスが大きく影響していることがわかってきた。それだけひどい世の中なのか、現代人が弱いのかわからないが、どちらにせよ、多発している病だ。
医者から「ストレスを貯めないようにしろ」といわれたところで、普通に生活していれば、たまるのが普通だ。ストレスが全くない人間もいないだろうし、ストレスがあるのは当たり前だ。ましてやある程度のストレスが人を向上させるものでもある。ストレスが溜まりすぎると人は弱る。精神的にももろくなるし、同時に身体も弱る。免疫機能が低下し、抵抗力がなくなり、病の温床となる。ストレスを発散する方法は人それぞれだが、タイ古式マッサージはいい。ストレスを取り除く効果も認められている。クイックマッサージなどで部分的に凝った箇所だけをマッサージしてもらうと、そこが楽になった分だけ、他の箇所が辛く感じたりするものだが、タイマッサージは全身の血流を促してくれるので、とてもすっきりとした印象が続く。直後から元気になった感じがする。受けてみればわかる。少なくとも悪いという感想は聞いたことがない。
タイ本国では「タイ医学」という扱いで、タイ古式マッサージの効能を衛生省が掲げている。高血圧、冷え性、便秘、アレルギー、頭痛、糖尿病、生理不順、風邪の予防、低血圧、食欲不振、ぜんそく、貧血など、60種類以上にも及ぶ。不眠症やヒステリー、イライラの解放は、まさにストレスの解消である。
20世紀は西洋医学が世界的に伸長した時代。患部を見つけ、切った、貼った、という具合に修復する。まるで、部品の交換をするような考え方の上に成り立った治療法だが、こうした治療法が世界の医療を引っ張ってきた。車や機械ならまだしも、こうした治療法のマイナス面も問われる時代になってきた。たとえば、ガンになれば、抗がん剤を投与するのが一般的だが、抗がん剤はがん細胞だけを攻撃するのでなく、普通の正常な細胞も攻撃をする。手術をして冒された箇所を取り除いたとしても、人間の身体は、どこかに外傷があるだけで、本来の自然治癒力が減退する。つまり、その間に残っていたがん細胞の増殖を抑えることができない。だから、がんで手術をした人は数ヵ月後に再度手術を受けることになる。こんなことを繰り返すうちに弱って死んでしまうのが、がん患者の大半ではないだろうか?
そこで注目されたのが、免疫力を向上させようという考え方だ。もともと人間の身体には、免疫機能というものがある。今のところ、がん細胞は正常細胞の突然変異だということになっているから、免疫機能が活発に働いていれば突然変異の細胞を自然に治しているはずなのである。まるでインターネットのウィルス撃退ソフトに似ている。笑うこと、気に入った音楽を聴くこと、楽しく過ごすことなどで人間の免疫機能は活発になる。東洋医学では、「気」というものがある。インド医学・アーユルヴェーダでは「プラーナ」という。生命体のエネルギーのことだ。東洋医学は、生命体のエネルギーを調整するというなんともよく分からならい、うさんくさいような治療法だが、最近では、このエネルギーが科学で解明されるようになってきた。もはやそれはうさんくさい治療法では無くなったのだ。
水の入ったコップを2つ用意して、ひとつには「バカ野郎!こんちきしょう!」と呼びかける。もうひとつには「きれいだね。素敵だね。」と呼びかける。顕微鏡で覗くと、水の分子構造が異なっている。というのは、有名な話である。
 人間は太古の昔、神や悪魔の存在を信じていた。たとえば、「悪魔の谷には行くな。あそこの谷に行って帰ってきた者はいない。」こんな言い伝えがあったとしよう。現代人の私たちは、「そんな馬鹿な?」と思う。だが実際にそうだったのだとすれば、それは、ひょっとしてウィルスだったのかもしれない。現代的に言い換えれば、「ウィルスの谷には行くな。あそこの谷に行って帰ってきた者はいない。」となる。目に見えないものの存在を信じない人は多い。科学で解明されれば納得するものだ。このように東洋医学の「気」という考え方も科学で解明されてきた。

タイマッサージを知る

 タイ古式マッサージは、「世界で一番気持ちいいマッサージ」とも呼ばれている。 約2時間から3時間かけて全身の施術を行なう。クイックマッサージくらいしか縁のない忙しい人にとってみれば異常に長い時間に思うが、受けたことのある人は「あっという間だ」と口をそろえる。技の数はとても多く、按摩や指圧によく似た手法から、アクロバット的な体勢で行うストレッチ技までが含まれ、上手く組み立てられている。ひととおりの技を行うとまる1日かかるほどある。実際にはクライアントの身体状況を確認した上で、適切な技を選択しながら、施術を行う。数百年の年月をかけて、タイで仏教と共に発展してきた施術法なので、愛と慈悲の心をもって施術することを大切にしているのが特徴だ。
 タイ古式マッサージは、まず足裏を施術することから始まる。まずは、足裏を十分に施術し、筋肉、血管、神経を刺激し、血液の循環を促す。そうすることで、老廃物も一緒に洗い流され、きれいな血液によって酸素も補給されるわけだ。血液の循環が悪くなると、疲労がたまり体調は次第に狂ってくる。足は「第二の心臓」と呼ばれるが、筋肉の3分の2は足にあって、心臓から送り出された血液を再び心臓へ送り返すポンプの役割を果たしているからである。通常でも、足部分の血圧は上半身の血圧の10分の1程度しかないから、心臓からいちばん遠い足には、血液がうまく循環していない。足の裏や甲には、自律神経など全身をコントロールする神経が集中しているから、この足の裏と甲の反射区を刺激することで体調を整え、自分自身の力で健康を維持させることができる。
 次に、脚全体をエネルギーライン(セン)に沿って圧迫する。母子(親指)の圧迫の後、手掌の圧迫というように、脚にある6本のセンを何度も往復しながら圧迫していく。「気」の流れを促し、血液やリンパの循環も同時に促す。血液は血管の中を巡っているが、圧迫によって細胞内の老廃物を毛細血管へと意図的に押し出しているのだ。通常、脚部分の施術で約1時間をかける。これがタイマッサージのひとつの特徴とも言える。
 その後、腕や腹部、腰、背中、肩、首、時には顔や頭などの施術を行いながら、全身を温めていく。身体が温まったら、ストレッチ技を行なっていく。 ストレッチ技もとてもアクロバティックな姿勢で行うのがタイマッサージらしいところ。プロレス技かと思うような複雑な技である。実はこれ施術者も無理のない姿勢で疲れないのが、また素晴らしさでもある。

タイマッサージの実験

 タイマッサージの場合、前半1時間くらいは、脚ばかりを徹底的にもみほぐすのが特徴だが、ここに秘密があった。脚には自律神経につながるスイッチが多く点在している。脚をもむことで自律神経にまで影響を与えることができるのだ。つまり、タイマッサージは懲りをほぐすだけでなく、体調を良くしてくれるということになる。
 タイマッサージが自律神経に影響を与えることを立証したこんな実験がある。2000年にNHKで特集された「タイの伝統マッサージが足にこだわるわけ!」という番組で特集された実験を紹介しよう。被験者は前の晩に徹夜をして疲れている。血行が悪くなっているために血圧が通常よりも高くなっていて、皮膚の表面温度が下がっている状態である。これに対し、脚のマッサージと肩のマッサージを同じ時間で、どれだけ肉体に変化が生じたのかを医療機器で計測して比較するという実験をした。まずタイマッサージの手法で、足裏〜太ももまでの部分を30分間マッサージした。次に同じ時間だけ肩をマッサージした。これらをそれぞれサーモグラフィーで体温を測り、血圧を測定した。脚のマッサージのほうは、脚だけではなく、上半身全体が赤くなっていた。これは、上半身全体の温度が上昇したことを示している。血圧に関しても、正常値にまで下がっていた。肩のマッサージでは、肩の部分の温度がわずかに上昇しただけで血圧にも大きな変化はみられなかった。つまり、タイマッサージの特徴でもある脚を丹念にもみほぐすことで、自律神経に働きかけ、全身に良い効果をもたらすことが、この実験で科学的に立証されたわけだ。
 この実験では、脚の筋肉の中でも大腿四頭筋と呼ばれる太ももの前面にある大きな筋肉を特にマッサージしたのだが、脚の大きな筋肉には、自律神経が脳にある自律神経の中枢に働きかけるための特殊なスイッチがいくつもあるということである。実験ではマッサージがスイッチに刺激を与え、それが信号となって脳に送られたというわけ。人間には自律神経という神経が全身に網の目のように張り巡らされているが、この自律神経というのは内蔵や血液、ホルモン、免疫をつかさどっている神経で、自分の意志ではコントロール不可能だ。手足の筋肉などは自分の意志によるものだが、これをコントロールするのは他の神経系。身体が弱っていると、この自律神経の動きも緩慢になる。
 自律神経に影響を与えるっていうことは、とにかく身体にいい。自律神経は、私たちの生命維持に欠かせない役割を果たしている。たとえば、私たちが走ったとき、心臓がバクバクする。食事をすれば勝手に胃腸が動く。自律神経が正常に機能しないと何かを食べても胃腸が正常に動かない。食物の栄養も吸収されなくなってしまうだけでなく、胃腸もさらに悪化する。こんな風に内臓が勝手に機能してくれているのは自律神経の働きである。頭(大脳)で考えるわけではなく、自律神経が内臓を動かしたり休ませたりしている。それだけじゃない。自律神経は、免疫機能やホルモンについても司っている。空気中には目に見えない細菌がうようよしている。息をするときに私たちは空気と一緒に細菌も吸い込んでいる。それでも身体が腐らないのは、免疫機能があるからだ。リンパや白血球が細菌を食べていれるから身体を保つことができる。免疫力が低下すると風邪をひきやすくなってしまうし、病気も治らないということになる。自律神経が活発に働けば、免疫機能も活発になり、病気になりにくい健康な身体になる。ホルモンとは、体内の特定の組織または器官で生産され、直接体液中に分泌されて運ばれ、特定の組織や器官の活動をきわめて微量で調節する生理的物質の総称だが、たとえば、エストロゲンなどの女性ホルモンが活発に分泌されると、女性らしい体型になったり、肌にはりが出たり、つややかになったりする。逆に女性ホルモンのバランスが崩れると生理不順を招いてしまう。先ほどの実験では、脚のマッサージによって自律神経が正常化されたと解釈できるわけだ。

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